【品質検査レポート】クイストゴー Relief

QUALITY CONTROL REPORT

第三者機関による品質検査レポート

イェンス・H・クイストゴー
(Jens H. Quistgaard)

「レリーフ(Relief)」

北欧ヴィンテージの陶磁器を扱っていると、ときどき考えるがあります。

「これらの器は、実際に使っても大丈夫なのだろうか?」

製造から数十年が経過したヴィンテージ陶磁器には、現在では使用されていない釉薬や、当時の技術で焼成されたものが多く存在します。

インターネット上を調べてみると、「古い食器は鉛やカドミウムが心配」「昔の釉薬は危険」といった声もあれば、「環境規制の厳しい北欧のヴィンテージだから問題ない」「昔のものでも大丈夫」といった楽観的な意見もあります。

しかし、そのどちらも、いま私たちの手元にある「この一枚」「このカップ」についての正確な答えではありません。

「分からない」こと自体を恐れるのではなく、調べられる方法があるのなら、実際に実物を調べて確認してみる。それが、私たちが大切にしたい姿勢です。

今回はその取り組みの第一弾として、第三者検査機関に依頼し、実際に鉛・カドミウムの溶出試験を実施いたしました。

1. 今回試験した商品について

今回、検査の対象として選んだのは、J.H. Quistgaard(イェンス・クイストゴー)がデザインした代表的なシリーズ「Relief(レリーフ)」のカップ&ソーサーです。

NISSEN製 Relief カップ&ソーサーおよびNISSENバックスタンプ

▲ 試験を実施した NISSEN製 Relief のカップ&ソーサーおよび裏面刻印

Reliefシリーズは製造年代によって複数の窯・メーカー(Kronjyden、NISSEN、Bing & Grøndahl)が存在しますが、今回当店が調達し試験に提出したのは、裏面のバックスタンプからNISSEN(ニッセン)製であることが確認できます。

2. 検体設計:「すべて」ではなく「代表検体」として調べる

今回の試験において、私たちが前提として大切にしている考え方があります。それは、「Reliefシリーズのすべての個体を調べたわけではない」ということです。

ヴィンテージ品には現行品のような同一のロット管理が存在しません。そのため、今回の結果をもって「すべてのReliefが安全である」と結論づけることはできません。今回は、NISSEN製のReliefから以下の2箇所を「代表検体」として指定し、試験を設計しました。

  • カップ内側(白釉薬部):
     飲み物が直接触れる部分
  • ソーサー表面(黄釉薬部):
    カップ外側と同系統の釉薬が使用され、食品や手が触れる可能性のある部分

カップ内側の「白い釉薬」と、ソーサーやカップ外側に使われている「黄土色の釉薬」は、性質の異なる別種類の釉薬です。そのため、「同じシリーズだから1箇所の検査で済ませる」のではなく、食品に接触する異なる2つの釉薬をそれぞれ個別に確認するというアプローチをとりました。
※今回の自主品質確認では、食品接触面およびソーサー表面の確認を優先し、カップ外側については試験対象から除外しています。

3. 試験項目と測定結果

試験は、第三者検査機関である一般財団法人 ボーケン品質評価機構へ依頼いたしました。食品衛生法の器具・容器包装の規格基準に準じた方法にて、鉛およびカドミウムの溶出量を測定しています。

ボーケン品質試験報告書(Relief Nissen)実物画像

▲ ボーケン品質評価機構による実際の試験成績書の抜粋

試験部位 項目 定量下限値 規格基準値 判定
カップ
(内側)
カドミウム 0.025 μg/ml 0.5 μg/ml以下 適合
鉛 0.2 μg/ml 2.0 μg/ml以下 適合
ソーサー
(表面)
カドミウム 0.033 μg/cm²未満 7.0 μg/cm²以下 適合
鉛 0.33 μg/cm²未満 8.0 μg/cm²以下 適合

試験を行った結果、今回提出した検体のカップ内側・ソーサー表面のいずれにおいても、カドミウム・鉛の溶出量は基準値に対して値は未満であり、「適合」という結果が得られました。

4. この結果をどう捉えるか

ここで重要視したいのは、「適合だったから、このシリーズは食品用食器として絶対に安全です」と飛躍した主張をしないことです。

当店が扱う北欧ヴィンテージ品は、輸入上の区分としては「装飾・観賞用」として取り扱っております。今回の試験は、法令上の販売基準を満たすための適合証明ではなく、「お客様が実際にご使用になる可能性」を考慮して行った、当店の自主的な品質確認手続きです。

試験報告書にも「厚生労働省令で定める基準に適合する方法で実施した検査によるものではない」旨の注意書きが明記されています。私たちはこの注意書きを隠すのではなく、むしろ正確に提示することこそが、ヴィンテージ品を扱う事業者としての誠実さであると考えています。

5. 私たちがこの取り組みを行う理由

北欧ヴィンテージには、時代を超えて現代の暮らしに馴染む素晴らしいデザインや質感が数多く残されています。私たちはそれらを、「古いものだから大丈夫だろう」と根拠なく楽観視したいわけでも、「昔のものだから危険かもしれない」といたずらに恐れたいわけでもありません。

分からないのであれば、調べる。
調べる方法が存在するのであれば、実際に実物を検査してみる。

今回のテストは、その姿勢を形にするための小さな一歩です。一社による一度の検査で、北欧ヴィンテージ市場全体の安全性を証明できるわけではありません。しかし、メーカー・シリーズ・釉薬・個体ごとの事実を一つひとつ丁寧に記録・蓄積していくことには、確かな意味があると信じています。

今後も Nordic Vintage Store & Supply では、必要だと判断した商品について客観的な検査・確認を行い、得られたデータを品質管理と情報開示に活かしてまいります。